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アラビアもよう
アラブのどうわ


 ■アラブのどうわ 第30回 ケンカの後で

ケンカの後で   

 昔アラビアに、ハサンとアリーという、いとこ同士の若者(わかもの)がいました。
 ある日のこと、二人はあることで意見が分かれ、おたがいに自分が言っていることの方が正しいと言い合って、けんかになってしまいました。

 すると怒(おこ)ったハサンはアリーに向かって、きつい言葉を投げつけました。それを聞いたアリーは何も言わずにだまっています。そこでハサンはアリーをそこに残したまま、怒って家へ帰ってしまいました。

 アリーも家に帰りましたが、どうしても、ハサンとこんなふうにケンカをしたままでいたくはありませんでした。そこでどうしたらいいか一生懸命(けんめい)考え、夜になると、思い切って自分からハサンの家へ出かけました。

ケンカの後で

 アリーはハサンの家に着き、かれを呼(よ)びました。するとハサンが出てきたので、やさしくこう言いました。
 「わたしのいとこよ、もしあなたの言ったことが本当ならば、どうか神様がわたしを赦(ゆる)してくださいますように。そして、もしあなたの言ったことが本当ではなかったならば、どうか神様があなたを赦してくださいますように。」

 それを聞くとハサンはアリーにだきついて、どうか自分を赦してほしいと、泣きながらたのんだのでした。

【ハキムのひとこと】

ハキム

 言い争いになったあげく、アリーは大好きなハサンにきつい言葉を言われてしまいます。でもかれは一生懸命(けんめい)がまんし、どうしたらハサンともう一度仲良くできるだろうかと考えました。そして自分から正直な気持ちを伝えに行きました。

 アリーはそこで、自分の意見を決して変えたわけではありませんでした。しかしどちらがまちがっていたとしても、そのことに関係なく、自分がハサンを大切に思っていることを伝(つた)え、まちがいがあったなら、おたがいに神様に赦(ゆる)してもらえるよう祈(いの)ったのです。

 ハサンは、自分がひどい言葉を言ったのに、アリーは怒(おこ)らず、自分と仲良くするためにやってきて、おたがいのことを祈ってくれたことに心を打たれ、そんなやさしいアリーに対して、自分が短気だったのを心から悪かったと思ったのです。

 アリーのやさしい心とがまんの力が、言い合いで固くなっていたハサンの心をやわらげてくれたんですね。

 

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