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アラビアもよう
アラブのどうわ


 ■アラブのどうわ 第24回牛乳(ぎゅうにゅう)売りのむすめ

牛乳(ぎゅうにゅう)売りのむすめ   

 昔、アラビアの国を治めていたりっぱな長(ちょう)に、ウマルという人がいました。
 ウマルは自分の国の人々が無事に暮(く)らしているかどうかたしかめるために、 夜になるとよく供(とも)の者を連れてそっと見回りにでかけたものでした。

 その夜もウマルは供を連れて見回りにでかけましたが、街じゅう歩きまわったので少しつかれ、立ちならぶ家々のそばに立ち止まって休みました。

 すると近くの家から年取った母親の声が聞こえてきました。その母親はむすめに何か言いつけているようです。よく聞くとどうやらその母親は、明日の朝、売りに行く牛乳(ぎゅうにゅう)に水をまぜるよう言い付けているのでした。水をまぜて牛乳の量をふやし、買う人には、その全部が牛乳だと言ってだまして、たくさんお金をもうけるように言っているのです。

牛乳(ぎゅうにゅう)売りのむすめ

 それを聞いたむすめが母に、「わたしたちの長ウマルは、牛乳(ぎゅうにゅう)に水をまぜて売ることを禁(きん)じられたではありませんか?!」と言うと、母は「いったいウマルが今どこにいると言うんだい? かれにわたしたちが見えるわけじゃないんだよ。」と、なおも言いはります。

  しかし、むすめはさらにこう言い返しました。

「それでは、お母さんは、人が見ているところでだけ長にしたがえと言うのですか?!」

 このやりとりを聞いていたウマルは、むすめの正直さをとてもうれしく思い、朝になるとむすめの名前を調べ、むすめがまだ結婚(けっこん)していないことを知りました。そこでその正直なむすめを自分のむすこのお嫁(よめ)さんにしようと思ったのでした。

 

【ハキムのひとこと】

ハキム

 正しい行いは、自分をよくするためだけではなく、人々がみな安心して暮(く)らしていくために大切です。
 だれかが見えないところでした悪いことが、めぐりめぐって自分をきずつけることがあるように、自分がひそかにしたことも、どこかでだれかをきずつけることがあります。

 もしこの物語のむすめが、母親に言われたとおりに、牛乳(ぎゅうにゅう)に水をまぜたものを牛乳だと言って売ったなら、それを買った人や、牛乳だと思って飲んだ人たちすべてをだまして必要以上のお金を使わせ、また、もしかしたらその人たちの体に、何かよくないことが起きていたかもしれません。

 人をだましたり、きずつけたりして得たお金は、決して自分にも幸福をもたらすことはありません。このかしこいむすめはそれをよく知っていたのですね。

 

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