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昔アラビアに、アブドッラーという学者がいました。
アブドッラーには貧(まず)しい隣人(りんじん)がいたのですが、ある時その隣人(りんじん)はくらしに困(こま)り、とうとう家を売りはらわなければならなくなりました。そこでその家を買いたいという人が家の値段(ねだん)をたずねると、かれは2000ディナールだと言いました。しかし買い手の方はなっとくせず、「この家は1000ディナールほどのものではないか。」とせまりました。

するとかれはこう答えたのです。
「あなたの言うとおりです。しかしわたしは家の代価(だいか)として1000ディナールを、そしてアブドッラーの隣人(りんじん)になることの代価(だいか)として1000ディナールをいただきたいのです。」
アブドッラーが隣人(りんじん)であるかれにいつも親切にしてくれていたので、かれは、心やさしいアブドッラーの
隣人(りんじん)となる値打(ねう)ちは、家の値打(ねう)ちと同じほどだと思ったのです。
その話を聞いたアブドッラーは、隣人(りんじん)がそれほどまでに自分を
よく思ってくれていることをうれしく思い、家の代金を隣人(りんじん)にあたえて、こう言いました。
「ここにとどまりなさい。家を売ってはなりません。」
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