昔アラビアに、アブー・ザッルという人がいました。
ある日人々は、アブー・ザッルが水を飲もうとして、井戸端(いどばた)にいるのを見ました。
そこでかれらはアブー・ザッルがどれぐらい自分をおさえる力があるか、試(ため)してやろうと思いつき、仲間の一人を井戸端(いどばた)へと送り出しました。かれにアブー・ザッルをおこらせ、その時かれがどうするか見てみようと思ったのです。
その男は井戸端
(いどばた)にいるアブー・ザッルに近づき、とつぜん乱暴(らんぼう)
にかれをつき飛ばしました。するとアブー・ザッルは怒(おこ)って男をにらみましたが、言葉は口にしません。そしてとつぜん地面にすわりこみました。それだけではなくしばらくすると、なぜだか今度は地面にねそべってしまったのです!
遠巻(とおま)きに見ていた人々は驚(おどろ)いてアブー・ザッルの周りにかけ寄(よ)り、かれにききました。
「あなたはなぜすわったのです? そしてなぜねそべったのですか?!」
するとアブー・ザッルはこう答えたのです
「かつて預言者(よげんしゃ)ムハンマドはわたしたちにこう教えてくれました。『もしも立っていて怒(いか)りを感じたなら、すわりなさい。それで怒(いか)りは消えていけばそれでいい。そうでなければ、横になりなさい。』」 |