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アラビアもよう
アラビアン・ナイト


 ■アラジンとまほうのランプ 第4回

アラジンとまほうのランプ

 アラビア村では青くすみわたった秋空の下、鳥たちがきれいでおいしい空気を楽しんでいるかのようにのびのびと飛んでいます。木々はそれぞれに実をつけ、虫や鳥や小さな動物たちに秋のごちそうを差し出しています。
 今日もハキムおじいさんは泉(いずみ)のそばの大きな木の下にすわり、秋の香(かお)りを楽しんでいます。



      ザキ
ハキムおじいさん、アッサラーム・アライクム! カイファ・ハールカ?


ハキム
ワ・アライクムッサラーム! アナ・ビハイリン、アルハムドリッラー。ザキたちも元気そうだね。もう学校は終わったのかい?


ザキくん

はい、終わりました。ハキムおじいさん、秋にはたくさんの木が実をつけるんですね。ほら、鳥が枝(えだ)に止まって木の実をおいしそうにつっついてる!


ハキム
そうだね。鳥たちはこの季節を待っているんだよ。あちこちでおいしい実がなるのをよく知っているんだね、スブハーナッラー!


翔くん
森の動物たちも、秋にはいろんな実をたくさん食べて、食べ物が少ない冬に備(そな)えるんだって、学校でも習ったよ。だれも教えないのに、鳥や動物たちはよく自然のことをわかっているんですね、スブハーナッラー!


ハキム
そう、神さまがちゃんとわかるようにしてくださっているんだよ。やあ、ラナ、彩(あや)、よく来たね、アッサラーム・アライクム!


 ラナ
   
ワ・アライクムッサラーム、ハキムおじいさん!


彩ちゃん
ハキムおじいさん、アラジンは王女さまと結婚(けっこん)してみんな幸せになったのに、また、あの悪い魔術師(まじゅつし)が出てくるんでしょう? 本当にしつこいのね!


ハキム
そう。欲(よく)深い人間は、自分のほしいものをどこまでも追いかけて、他の者たちのことなんか考えないのだよ。でも、最後はみんな自分の欲深さでつまずくものさ。
さあ、今日はいよいよアラジンのお話のクライマックスだよ。
                
 さて、あのうそつきの魔術師(まじゅつし)に話をもどしましょう。
 かれは東部の自分の家にもどっており、じゅもんやら魔術(まじゅつ)の本やらにまたのめりこんでいました。しかし、かつての西部への旅やあのランプのことを忘れたわけではなく、かれはあのランプがアラジンの死体と一緒(いっしょ)に今でもまだあのどうくつの中にねむっているのだと考えていたのです。

 しかし、やがて西部の立派(りっぱ)な将軍(しょうぐん)のうわさが東部にも伝えられ、その将軍がアラジンという名だと知ると、かれは怒(いか)り狂(くる)いました。そしてもう一度西部へもどり、今度こそ、何があろうとも、あのランプを手にしないうちにはもどらない、と決心したのでした!

 魔術師(まじゅつし)は数ヶ月も旅をし、ようやく王国の首都に着きました。そこは、かれが初めてアラジンに会った場所からそう遠くないところでした。

 王国でアラジンのうわさを聞きだすのは簡単(かんたん)でした。町の人々はみな、アラジンのことばかりを話していたからです。かれは気前が良く、おしみなく人々に財産(ざいさん)を差し出し、勇かんで、慈悲(じひ)深く、貴族(きぞく)たちの中でも最も知恵(ちえ)ある人物である……。だからこそ、王さまの娘(むすめ)むこになって王さまに信頼(しんらい)されるのも、無理のないことである、と。しかしそれを聞いて、魔術師(まじゅつし)のねたみや怒りはさらに激(はげ)しく燃(も)え上がりました。

 魔術師(まじゅつし)は長旅の間に、どうやってあのランプを取り返そうかと、色々な悪だくみをくわだてていたのですが、ついにある計画の実行を心に決めました。そこで市場に行って新しくてピカピカの銅(どう)のランプをたくさん買いました!

 翌朝(よくあさ)、魔術師(まじゅつし)はそれらのランプをみなたずさえて、宮殿(きゅうでん)のある通りに出かけていきました。今アラジンは狩(か)りの旅に出かけていて、留守(るす)であることを知っていたからです。
 かれはアラジンの宮殿の近くで、おもむろにこう呼(よ)びかけました。
「さあさあ、又とないチャンスだよ! あなたがたの古びてさびついてしまったランプを、新品できれいなランプと交かんしないか?! さあ、古いランプを持ってきて、ここから新しいのを代わりに一つ持っていっておくれ!」

 人々は声を聞きつけると、そのおかしなランプ売りの周りにみな集まってきました。
 とても信じられないといった様子で。そしてみな、自分のうちにあった古いランプをそこにある新しいものと取りかえようと思いました。



 王女はそのさわぎを聞きつけ、一体何があったのかと侍女(じじょ)にたずねました。そこで侍女は、まるで笑い話をするように、おかしなランプ売りのことを王女に話して聞かせました。するとそれを聞いた王女はこう言いました。
「信じられないような話だわ。それじゃあ、ためしてみましょう! じつはアラジンは自分の部屋に古いランプをしまっているの。わたしにはどうしてだかわからないのだけれど! だから、かれの身分にふさわしい新品のランプと取りかえて、かれをびっくりさせましょう。これを持っていって、あのおかしなランプ売りに新しいランプと交かんしてもらってきてちょうだい。」

 魔術師(まじゅつし)は、侍女が手にしているランプを遠くから目にし、それが自分の探しているあのランプだとすぐにわかりました。そこで急いでかの女の手からそのランプを奪(うば)い取り、代わりに新品のランプをわたしました。それから、全身を喜びで満たしながら人ごみにまぎれて道をつっきり、自分の宿へともどりました。そしてランプをこすると、かみなりのような大きな音がして部屋がゆれ、やがてランプの魔人(まじん)が現(あらわ)れたのです!

 魔人はこうさけびました。
「ご主人さまの命令でまいりました、ランプの持ち主さま。何でもご主人さまのご命令どおりにいたします!」

 そこで魔術師(まじゅつし)はこう言いました。
「よし。それでは、わたしとアラジンの宮殿(きゅうでん)を、その中にあるすべてのものと一緒(いっしょ)に、国から遠くはなれたところへと移(うつ)してくれ!」
 そしてその通りになりました!

 狩(か)りの旅からもどったアラジンは、とても大きなショックをうけました。家も愛する王女も姿(すがた)を消していたのですから! かれは悲しみのあまり、思わず両手をこすり合わせました。するととつぜん、あの指輪の魔人(まじん)が目の前に現(あらわ)れたのです。アラジンは、あやうくかれのことを忘れるところでした。そこでアラジンは、心配げに魔人にこう言いました。
「急いでわたしを王女のいるところへ連れて行ってくれ。それがどんなところであっても。」

 すると一瞬(いっしゅん)のうちに、アラジンはもう王女のそばにすわっていました。2人が再会(さいかい)できた喜びはこの上もなく大きく、感動的なものでした。しかしやがて王女は泣き出し、こう言いました。
「アラジン、どうかわたしを助けてちょうだい! わたしには何が起きているのかさっぱりわからないのよ。」

 アラジンがランプのことをたずねると、王女は、古いランプを新品と取りかえていたランプ売りの話をし、侍女(じじょ)が古いランプを持って出かけてしばらくすると、なぜかとつぜん、自分はあのおぞましい男と一緒(いっしょ)にこのいやな場所にいたのだ、と伝えました。結婚(けっこん)してくれ、としつこくせまるあのおぞましい男と……。
 そして王女はさらにこう言いました。
「アラジン、あの者はいったいだれなの? どうして鎖(くさり)にあのランプをつないでずっと首にぶらさげているのかしら? わたし、かれが恐(こわ)いわ! ほら見て、わたし、こうして毒入りの小びんを用意したのよ。あのおぞましい男が近づいてきたら、飲みほそうと思って!」

 そこでアラジンはこう言いました。
「あれは邪悪(じゃあく)な魔術師(まじゅつし)なのだよ。われわれはかれをやっつけなければならない。一つ計画があるから、君の役割(やくわり)をうまく演(えん)じてくれないか!」

 その日の昼下がりに魔術師(まじゅつし)がやって来ると、王女はこわい気持ちをかくし、ほほえんでかれを出むかえました。そして、今までのことをわびるように、こう言いました。
「どうかわたしのそばにおすわりください。今までわたしはあなたに本当に冷たい態度(たいど)を取ってしまい、礼儀(れいぎ)に欠けておりました。しかし、もう元の場所にもどる希望はないのですから、わたしたちはお友だちでいるべきですわね。さあ、一緒(いっしょ)に夜通しお話をしようではありませんか。」

 魔術師(まじゅつし)は王女の心変わりを喜び、かの女の美しさをほめたたえる詩をよみ聞かせました。そこで王女は侍女(じじょ)を呼(よ)び、自分たちに飲み物を用意するように言いました。
 王女はその侍女と秘策(ひさく)を立てていたのです。

 やがて侍女は飲み物を持ってやって来ました。魔術師(まじゅつし)は、王女の心を手に入れた勝利の喜びでいっぱいだったので、何もためらわず、杯(はい)の飲み物を一気に飲みほしました。そう、王女の魔術がかれの魔術に勝ったのです!
 すると魔術師(まじゅつし)は間もなく床(ゆか)にたおれこみました。王女が悲しみのあまり、死のうと思っていたあの毒によって。

 その時、戸棚(とだな)の後ろにかくれていたアラジンが飛び出してきました。そして、魔術師(まじゅつし)の首からランプを奪(うば)い、かれの死体を窓(まど)から投げ捨(す)てました。それからランプをこすると、部屋がゆれ、ランプの召使(めしつか)いが現(あらわ)れました。そこでアラジンはかれにこう言いました。
「わたしたちを故郷(こきょう)へともどしてくれ。王女も宮殿(きゅうでん)もわたしも。」
 そしてその通りになりました!

 アラジンの宮殿は、王さまの城(しろ)のそばに、また新たに高々とそびえ立ちました。
 そして、王さまとアラジンのお母さんがかれらとの再会(さいかい)を果たすと、かれらは口で言い表せないほど大きな喜びに包まれました。



 それからかれらはみな幸せに暮(く)らしました。そしてアラジンと王女は、2人以外にはだれも知らない安全な場所にランプをしまっておくことを、かた時も忘れはしなかったそうです!

 終わり。
                


彩ちゃん
ああ、良かった! あの悪い魔術師(まじゅつし)がいなくなって、アラジンも王女も王さまもアラジンのお母さんも、みんなまた幸せに暮(く)らすことができたのね、アルハムドリッラー!


ザキくん

ハキムおじいさん、本当におもしろかったです! ぜひ、またぼくたちに、いろんな話をして聞かせてくださいね。


ハキム
インシャーアッラー、そうするよ。君たちが喜んでくれてとてもうれしいよ、アルハムドリッラー。それじゃあ、みんな気をつけて帰るんだよ。イラッリカー(また会いましょう)、アッサラーム・アライクム!


      

 ラナ   ザキ
ワ・アライクムッサラーム、ハキムおじいさん。そして、イラッリカー!

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